産後骨盤矯正とは、起こりやすい症状や矯正の必要性について
女性は妊娠や出産を経験すると、体型や体質の変化とともに不調を感じることがあります。
整体の観点からみると、骨盤のゆがみはさまざまな不調につながりますが、特に産後は「骨盤の開き」が原因の一つとして考えられます。
妊娠・出産後になんらかの不調を訴えて、整体による骨盤矯正を受ける方は少なくありません。ここでは出産によって骨盤が開く理由やデメリット、産後骨盤矯正の必要性を解説します。
産後の不調と骨盤の開き
出産を終えたお母さんは、生活パターンを赤ちゃんに合わせるため睡眠不足になりがちです。育児疲れや子育ての不安から、ストレスが溜まっていわゆる「産後うつ」に悩む声を聞くこともありますが、もしかすると不調の原因は骨盤の開きにあるのかもしれません。
産後におこりやすい症状
妊娠中や出産後に頭痛や肩こり、腰痛が激しくなり、便秘や尿漏れが気になりだしたら原因として骨盤のゆがみが考えられます。骨盤は、基本的に妊娠中から出産まで開いた状態にあります。しかし、しだいに閉じてくるのが一般的です。産後は骨盤が戻りきれずに開いたままだと、本来あるべき内臓を支える力が弱くなり、内臓が落ちてくるため便秘や尿もれを引き起こす可能性があります。
骨盤が開くことのデメリット
骨盤が開くと内臓の位置が下るため、下腹が出ていわゆる“ぽっこりお腹”の体型になることがあります。そればかりか、内臓の機能が低下することで代謝が悪くなると、痩せにくい体質になる場合があります。
産後に太りやすくなるのは、体質が変わることが原因のひとつとされるのはそのためです。また妊娠・出産によるホルモンの変化に加え、骨盤が開く影響によって自律神経が乱れやすくなり、倦怠感や不眠、抑うつといった心身の不調を感じることがあります。
骨盤矯正を受ける人が訴える悩み
産後に限らず、骨盤矯正を受ける人のなかには、事務職でデスクワークが続くため腰痛に悩み、慢性的な肩こりを訴えるケースが少なくありません。夏場に冷房を入れているわけでもないのに、身体が冷えるのでなんとかならないかと相談されることもあります。
本来は、正しい姿勢を保てば身体のゆがみも直るはずですが、それが出来ないという人や、くびれの位置が左右でずれている場合なども骨盤矯正による改善が期待されます。
産後骨盤矯正とは
骨盤は、左右一対の寛骨(腸骨・恥骨・坐骨)と仙骨および尾骨からなる骨格の総称です。背骨は腰椎から仙骨につながり、仙骨と左右の寛骨の間に仙骨関節があります。背骨と仙骨の接点、仙骨と寛骨の接点は僅かながら可動性があるため、身体に対してのバランスを崩してしまうことがあります。出産によって骨盤が開いて戻らないときに行うのが産後骨盤矯正です。
骨盤の重要性
背骨の正式名称は、「脊柱」といいます。主に7個の頚椎(けいつい)、12個の胸椎(きょうつい)、5個の腰椎(ようつい)からなり、その下に仙骨が1個と尾骨が2〜3個つながっています。
背骨は、ゆるやかなS字カーブを描くのが理想的とされます。体を動かした際、とくに走るときやジャンプして着地したときなど、直接脳を刺激せぬように衝撃を吸収するためです。骨盤には、そのS字カーブを維持するため背骨を支える重要な役割があるのです。
骨盤のゆがみのタイプ
骨盤のゆがみには、大きく分けて前傾タイプ、後傾タイプ、左右ゆがみタイプがあります。自然体で直立したときに背骨がきれいなS字カーブを描き、そのラインを骨盤が支えている状態が正常です。しかし骨盤が後ろに傾いてしまうと、背中が丸まってあごや肩が前に出た姿勢になります。これが後傾タイプで、実年齢より老けてみられがちです。
前傾タイプは、反り腰になるのが特徴で、一見すると姿勢がよくみえます。「姿勢を良く見せよう」と意識している人に多く、日常的にヒールを履き、胸を張りすぎた場合になりがちで、モデルやアスリートなどにもみられます。
骨盤の左右にある寛骨の高さが違ってみえるほどずれるのが、左右ゆがみタイプです。体幹筋のひとつで、脊柱の安定性を保つ役割がある腰方形筋の筋力が低下します。バランスを崩したときに起きやすく、おしりが四角くみえてしまう人に多いタイプです。
骨盤がゆがむ原因
基本的に骨盤自体は、強靱な靱帯で結束されています。そのため、ゆがむことはなく、周辺のインナーマッスルなど筋力が低下することでバランスが崩れ、背骨のS字カーブに影響を及ぼすという説があります。ただ仙骨と寛骨を結ぶ仙骨関節も、なんらかのきっかけでわずかに動くことがあります。腰痛の原因になるという説もあるため、「骨盤がゆがむ」原因はいくつかあると考えられます。
産後の骨盤の変化
一般的な骨盤のゆがみは、妊娠中や出産後も同じように起こります。しかし産後は、さらに骨盤の変化がみられるため注意が必要です。ここでは女性ホルモンによる影響や、骨盤底筋群について説明します。
なぜ出産で骨盤がゆがむのか?
妊娠中は、お母さんのお腹のなかで赤ちゃんが大きくなるとともに子宮も大きくなります。そのため骨盤は、それをしっかり支えなければなりません。お腹の赤ちゃんを支えようとする姿勢を続けるうちに、骨盤も変化してゆがみが生じます。
出産したら今度は子育てがはじまり、赤ちゃんの首がすわらないうちは抱っこして、片方の手で頭の後ろをしっかりと支える体勢をとります。かたよった力の入れ方になるため、筋肉のバランスが崩れてしまいます。筋肉のバランスが崩れると、骨盤のゆがみにつながり、前傾タイプや左右ゆがみタイプになる可能性が高くなります。
女性ホルモン「リラキシン」の影響
妊娠から出産、産後にかけてエストロゲンやプロゲステロンをはじめ、オキシトシン、プロラクチンなどさまざまなホルモンがお母さんの体の中で働きます。妊娠して20週ごろからは、「リラキシン」という女性ホルモンが分泌されはじめます。
リラキシンには骨盤の恥骨結合部を柔軟にし、産道を広げる作用があり、出産を助けるために分泌されます。さらに陣痛とともに大量に分泌されると、骨盤まわりや全身の靭帯結合を緩めることで、赤ちゃんがスムーズに生まれやすい状態にします。
リラキシンは出産のために重要なホルモンですが、産後1か月程度で分泌が止まり、靭帯が固まりだすといわれています。リラキシンが分泌されているあいだは、骨盤周りの関節や靭帯が弛緩しやすくなりますが、一般的にはリラキシンの分泌が減って骨盤は閉じはじめます。しかし産後も骨盤が開いたままで、元の状態に戻りにくいことがあります。
骨盤底筋群の緩み
開いた骨盤が戻りにくくなるのは、出産や産後の子育てによるインナーマッスルなど筋力の低下が原因とされますが、骨盤底筋群の変化もそのひとつといえるでしょう。
骨盤底筋群とは、骨盤の底部分にある筋肉群で「会陰膜(えいんまく)」、「骨盤隔膜」、「内骨盤筋膜」の3層からなります。骨盤内の膀胱、子宮、直腸といった臓器を支えて正常な位置に保つ役割があります。
さらに尿や便の排泄をコントロールして、排便時に腹圧を伝えるなど、圧力が掛かった腹膜を下から支える重要な役割を担います。骨盤底筋群が緩むと、尿漏れや排便障害といった症状が起きてしまい、外陰部のかゆみを感じることもあります。くしゃみや咳をしただけで軽い尿漏れがある症状も、骨盤底筋群の緩みが原因といわれます。
骨盤底筋群が緩む原因として、妊娠でお腹の中の赤ちゃんが成長することによって子宮が常に圧迫され、負荷がかることが考えられます。また経腟分娩で赤ちゃんが産道を通って出てくる際の圧迫や会陰切開などにより、筋肉にダメージがおよぶことも原因のひとつとされます。
妊娠・出産以外では、骨盤底筋群も加齢とともに筋力が衰えて支える力が弱くなることは否めません。ほかには運動不足による肥満から脂肪により、腹部が圧迫されて骨盤底筋自体がダメージをうける可能性が考えられます。
骨盤底筋群の緩みは、骨盤底筋のトレーニングを行うことで改善が期待されます。骨盤底筋群の中間層になる骨盤隔膜は、腕や脚と同じ「横紋筋」でできているためトレーニングで鍛えることが可能です。
産後骨盤矯正のやり方
産後に不調を感じる原因は、女性ホルモンによる影響や骨盤底筋群の緩みによる骨盤の開きにあるかもしれません。トレーニングなど自助努力でなんとかなればよいのですが、早くなんとかしてほしいと整体を受けられる方が多いのが現状です。
産後骨盤矯正は、普通の整体施術とどのように違うのでしょうか。厚木腰痛肩こり整体研究所では、妊娠・出産で開いてしまった骨盤にアプローチすることで元の状態へ戻るように調整し、産後の不調の改善や予防を目指します。一般の整体施術と違い、産後は骨盤周辺の靭帯が緩んでいるため、状態を確認しながら適切な圧力をかけて施術を進めます。緩んだ骨盤底筋群にも施術を行うため、自分でトレーニングするのが苦手な方でも改善が期待できます。
まとめ
「厚木腰痛肩こり整体研究所」では、産後骨盤矯正を基本的に、横向きから行い徐々にうつ伏せの体勢へと移行して仰向けで完了します。横向きからはじめることが多いのは、産後のデリケートな骨盤を考慮してのことです。
骨盤のゆがみは「それほど支障がないから」と対処しないでいると、不調が起きて慌てることになりかねません。とくに産後の骨盤矯正はとても大切なため、早めの施術をおすすめします。